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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

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冠詞~「例外」??

冠詞に関する「原則」(細則ではなくて)のもうひとつは、「他の限定する語とならべては使わない」ということである。myとかYourのように所有をあらわす語や、Thatのような指詞、または固有名詞でそのものの名前をあらわすもの(Tokyo Universityなど)、Mt.FujiとかLake Michiganのようにタイトルとなっているもの、のことである。それももちろん、theが「限定する」機能があるという「原則」から導かれるものだ。だから「準原則」と言ったほうがいいかもしれない。

たとえば東京大学は「東京」という「名前」のついた、つまりそれによってすでに十分限定されるものなので、Theはいらず、Tokyo Universityとなる。だが「東京都立大学」は、「東京都が運営している、あの大学」なのでThe University Of Tokyoとなるのだ。

冠詞に関する「細則」が載っている文法書をみるとかなり頭痛がする。

とりわけ、自然や地名についての規則がややこしい。
曰く、海・山脈・群島・地域・川・砂漠にはtheをつける。
固有名詞にはtheをつけないはずなのに??
だが大陸・州・市・町・国そして湖と単体の山にはtheをつけない、と。

しかし、「キモチ」は実は通底している。「びみょー」ではあるのだが。というか、英語というものが育ってきた「歴史」にまで思いをはせる必要があったりする。

例えば、the Nileと言うとき、実はthe river of Nile もしくはthe Nile riverというのの「省略」と考えられる。「Nileという名の、あの川」というわけだ。theがついているのは固有名詞のほうではなく、普通名詞のriverのほうなのである。
ちなみに、固有名詞をつけず、特定のものをとくに指していなくても、seaとかmountain,beach, riverなどにはtheをつけることが多い。

Let's go to the beach this weekend.

推測だが、おそらく人々の生活において、生活圏内にある川とか山とか海岸とかは、言わずとも「特定される存在」であったのである(いまでも原則的にはそうであろう)。だから「あの川」「あの海岸」「あの山」で正解だった。だから、その川などの名前を言って特定するときも、「ナイルという名のついた、あの川」という意識が強いのである。

たぶん、町の中にある「劇場」「ホテル」「映画館」なども同じだ。おそらくはかつては町に「ひとつしかなかった」ような特別な存在なのである。the theaterといえば通じていたのだ。だから川などと同じく、「○○という名のついた、あの劇場」となるのである。

一方、国や大陸、州でも市でも島でも、それは自分たちがその中に住んでいるものであり、「あの」をつけて対外的な存在として意識するものでは基本的にはない。グローバルな視点が出てきて初めて、国や大陸なども、自分たちが住んでいるもの以外の存在を意識するようになったと思うが、英語の成立過程ではそうではなかっただろう。だから「○○という名のあの国」などと日常的に言う「キモチ」にはならなかった。


ただ「地域」とか「群島」になると、むしろそもそもが対外的な視点で認識されるものなので、theがつくようになる。

ちなみに、「単体の山」と「湖」にtheがつかないのは Mt.及びLakeという語が、タイトルとして(人にMr.とかMs.をつけるように)ついているからだ。

国の名前にはtheはつかないが、the U.S.A.には必ずつく。
the United States of America
これは、「アメリカという名の、あの『合衆国』」という意味なのである。アメリカが比較的新しくできた国であり、しかも「合衆国」という他にない形態のものであるから--そしてunited statesという言葉それ自体は「普通名詞」であるから、それにtheをつけて限定することになる。
他の国でも、正式名称が、たとえば中国ならthe People's Republic of Chaina「中国人民共和国」だったりする。これももちろん同じことである。

普通のビルの名前やstreetの名前にはtheがつかない。それは、生活圏内にたくさんあるからそもそも特定できないので、「あのビル」「あの道」とは言えないからである。

ちなみに、エンパイア・ステートビルにはtheがつく。
the Enpire State building
なぜか?
実は、the Enpire Stateというのがこのビルの「名前」である。
the "Enpire state building"
ではなく
"the Enpire State" building
なのだ。
Enpire Stateというのは、ニューヨーク州の「あだ名」である。「帝国の州」というわけだ。アメリカの州にはそれそれ特徴を表すあだ名がついている。ゴールドラッシュに沸き返ったカリフォルニア州なら the Golden Stateだし、フロリダはthe Alligator Stateとか the Sunshine Stateとか呼ばれるようだ(あだ名はたいがい複数ある)。おなじみハワイ州はthe Aloha Stateとかthe Paradise of the Pacific…一覧表を見ていると実に面白い。


これらのあだ名にはすべてtheがついている。何度も言うが「○○という(あだ)名の、あの州」ということだ。
それでthe Enpire Stateとなり、これが「全体で(theも含めて)」エンパイアステートビルの名前として「固有名詞」化しているのである。

以上のように「ややこしい」とか「例外」と思われるものにも、実はちゃんと原則にしっかりのっとった理由がある。キモチは共通しているのである。もちろん背景まで考えなくてはならないのは面倒ではあるが、ただ闇雲に暗記しようとするよりは納得しやすいし、応用も利くのではないかと思われる。これが分かっていれば、たとえうっかり間違ったとしても、意味を左右するような致命的な間違いにはならないはずだ。

(ここで述べた「原則にいかにのっとっているか」の説明は、私がどこかで読んだり調べたりしたのではなく、自分で勝手に考えたものなので、もしかすると全然見当違いかもしれないが、これで説明できるからいいのではないか、と思っている。けれど学問的に「確立された」ものではないかもしれないーーそうでないかあるかすら知らないーーので、その点ご了承&ご容赦下さい)

この関連はもう少し続く。冠詞についての話は英語のエッセンス満杯なのだ。

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